食物アレルギーについて、ハウス食品グループがお伝えしたいこと ひとつのお鍋で、家族をひとつに。

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赤城智美さんコラム

食物アレルギーについて、赤城さんご自身の経験をもとにさまざまなエピソードをご紹介します。

コラム Vol.32
「1の日チャレンジ」の
思い出

負荷試験や免疫療法という言葉自体がまだ一般的ではなかった頃、親子で「1の日チャレンジ」ということをやっていました。引っ越しをしたことにより、それまで食物アレルギーを診断してもらっていた医師のところには、5時間もかかってしまうようになり、近隣に医師が見つかるまでの間、かかりつけだった医師と時折電話でやりとりをしていました。少量のアレルゲンを誤食してしまった時、症状が起きないことがあり、電話でその医師に相談したところ「緩やかな食べ慣らしであれば、食べられるようになる可能性がある」と言って下さったことがチャレンジを始めたきっかけでした。

当時、子どものアレルゲンは小麦、卵、乳成分と診断されていましたが、3歳の頃に麦チョコを1粒食べたときは、呼吸困難をおこし顔が真っ赤になったことがありました。麦茶を飲んでも咳が止まらなかったので「大麦も症状を引きおこす」と考え「除去はしないが注意して食べるもの」と考えるよう医師から指導されました。

6歳の頃には、親戚宅でデュラムセモリナのパスタを間違って数センチ食べてしまったのに、何も起こらなかったという出来事がありました。この時、子どもの身体は成長とともに変化してきていて、以前ほど過敏な反応を起こさなくなったのだと考えるきっかけになりました。

その出来事から数か月たった頃、麦チョコを1粒友達からもらって食べてしまったのに、やはり何も起こらないことがありました。その日がたまたま「1日(ついたち)」だったので、1日・11日・21日といった1の日が来るたびに、食べる麦チョコの量を1粒ずつ増やしていくと、6粒か7粒あたりで咳込むことがあり、再び医師に相談しました。午前中・病院が開いている時間・15分以内に病院に行ける状態・決められた量を食べる、という条件付きであれば「5粒までは食べ続けていた方がいい」という話になり、1のつく日と天気がいい土曜日は麦チョコを5粒食べるという「1の日チャレンジ」が続きました。

半年ごとに、もう数粒増やせるかを確認しながら進めた結果、4年生の終わり頃には20粒以上食べても大丈夫になったことを確認して「1の日チャレンジ」は終了にしました。デュラムセモリナのパスタも麦チョコから数か月遅れて少しずつ食べるようにした結果、最終的には1食分食べられるようになりました。同じ小麦製品でも、パンには卵・乳成分が含まれているため、フランスパンやドイツパンなど水と油と塩で作られたものを食べ慣らしに使用したのですが、1/2切れ程度から先へはほとんど進めることができませんでした。小学校高学年の頃には、餃子・シュウマイ・うどんなどの小麦加工品を食べられるようになっていた中で、パンだけがちょっと厄介な存在として残ってしまっていました。

食べ物と慎重に向き合う日々は不安の連続でしたが、思い返すと楽しい時間でもありました。あの時間が子どもの成長にどんなふうに影響したのかは、もう少し先にならないと分からないことかもしれません。ただ私たち親子に共通していたのは「さあ!今日は1の日チャレンジの日だね!」という明るい・前向きな気持ちでした。食べて症状が出たときは「また次回ね」と遊びの約束をするような感じで、次のチャレンジを約束していました。息が苦しかったり、お腹を下したり、体が痒くなったり、いやなことや不安なことは沢山あったと思うのですが、子どもは「楽しくやろうぜ!」という私の勢いに付き合ってくれました。今考えてもそれはとてもありがたいことでした。

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