子どもの身長アップのカギは? 成長期に実践したい"食事と生活習慣"

子どもの身長アップのカギは? 成長期に実践したい"食事と生活習慣"
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「子どもの身長は遺伝で決まる」と思って諦めていませんか? 確かに、両親の身長から考えられる目安があり、伸び方や伸び代は一人ひとり異なります。ただしその可能性が、食事や生活習慣によって十分に引き出されていないケースも少なくありません。 今回は、1万5000人以上の成長データをもとに子どもの身長診療を行う東京神田整形外科クリニック・田邊雄院長に、成長の仕組みや、毎日の食事でできること、暮らしの整え方について伺いました。忙しい毎日でも、今日から少しずつ取り入れられるヒントをまとめています。

田邊雄
プロフィール
東京神田整形外科クリニック院長
田邊雄

金沢医科大学医学部を2011年に卒業、順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科へ入局。2020年に東京神田整形外科クリニックを開業。
身長を伸ばす専門『身長先生』としてYouTubeなどで身長アップの方法を発信中。
YouTubeチャンネル登録者4.1万人(2026年7月時点)。
著書に『1万5000人のデータに基づいたすごい身長の伸ばし方』(KADOKAWA)、『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30 体・心・脳が育つ!「成長食」』(Gakken)などがある。

◯遺伝だと諦めないで!子どもの身長を伸ばす可能性を高めるために大切なこととは?

「身長は遺伝だけで決まるとは言い切れません」と田邊先生。実際、日本人の平均身長は1950年から2020年の約70年で、10cm近くも伸びています(※1,2)。背景にあるのは、食事の質や量が整ったこと、暮らしの変化など環境の力。同じ親から生まれた兄弟でも身長に差が出るのも、毎日の食事や生活習慣の違いが影響していると考えられます。親が小柄でも、子ども自身の"伸びしろ"は育てていけます。後天的な環境要因で"伸びしろ"を引き出すことはできる──それが、田邊先生が日々の診療で伝えているメッセージです。

◯成長期のピークと身長が伸びやすいタイミング

身長にはいくつかの成長フェーズがありますが、ぐんと伸びやすいゴールデンタイムは成長ホルモンの分泌が活発になる第二次性徴期にあたります。田邊先生によると、女の子は9〜11歳、男の子は10〜13歳ごろがピークの目安(※3)。この時期は、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンが骨の両端(骨端線)に働きかけ、骨がぐっと伸びます。特に「眠り始めの90分」に分泌が高まるため、夜更かしを控えて、朝は同じ時間に起きるリズムづくりがカギ。そこに、適度な運動と、ビタミンD合成を助ける日光浴、栄養バランスのよい食事が重なると、伸びる力をしっかり後押しできます。

◯身長を伸ばすために必要な栄養素と食事

身長を伸ばす栄養素というと「カルシウム」のイメージが強いですが、実はチーム戦。。骨の材料になる"タンパク質"、骨の代謝とカルシウム吸収を支える"ビタミンD"(欠乏すると身長の伸びが平均で約7.5%低下するという報告も(※4))、成長に関わる酵素を助ける"亜鉛"、酸素運搬に欠かせない"鉄"は、特に意識したい栄養素です。さらに、エネルギー代謝に関わる"ビタミンB群"、鉄や亜鉛の吸収を高める"ビタミンC"を組み合わせると、相乗効果が期待できます。

毎日続けやすい食材なら、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品がおすすめ。カルシウムだけでなく、タンパク質や亜鉛、ビタミンB群も摂取できる優秀な食品です。睡眠リズムのサポートにもつながり、結果的に身長が伸びやすい体づくりに一役買ってくれます。

卵も心強い味方で、良質なタンパク質に加え、ビタミンB群・鉄・亜鉛・ビタミンDをまとめてとれる万能選手です。こうした食材を上手に使って、無理なくバランスの良い食事を続けていきましょう。

◯身長を伸ばすための食事量とバランス

意外と注意が必要なのが、食事によって取ることのできるカロリー量です。成長期に必要なカロリーは、想像より多めです。運動量や年齢によって必要とするカロリー量は異なりますが、10〜11歳の男子で約1,950〜2,500kcal/日、女子でも1,850〜2,350kcal/日ほど必要になります。(※5)まずは「足りているかな?」の視点をもつことがスタートです。

そのうえでカギになるのがタンパク質。グラム計算(※6)が難しければ、「主食1:タンパク質2」を合言葉に、毎食タンパク質のおかずを2品用意してみましょう。とくに身長アップをねらう時期は、植物性タンパク質よりも、必須アミノ酸の吸収効率が高い動物性タンパク質をしっかり摂ることが大切。 忙しくてたくさんの食事を用意できないという時は、具材の量でタンパク質を調整しやすいカレーや丼などの"ワンプレート"が心強い味方です。

少食のお子さんはプロテインで上手に補っても問題ありませんし、偏食が強いお子さんなら同じメニューの反復も作戦のひとつです。

(※5)子どもが必要とするエネルギー量(kcal/日)

性別 男子 女子
身体活動レベル I II III I II III
8〜9歳 1,600 1,850 2,100 1,500 1,700 1,900
10〜11歳 1,950 2,250 2,500 1,850 2,100 2,350
12〜14歳 2,300 2,600 2,900 2,150 2,400 2,700
15〜17歳 2,500 2,800 3,150 2,050 2,300 2,550

身体活動レベルの基準
 I  :低い。学校や家での静的な活動が中心で、あまり体を動かす機会がない
Ⅱ:普通。日常生活で適度な活動があり、座って過ごす時間と体を動かす時間のバランスが取れている
Ⅲ:高い。非常に活発で、日常的に体を動かすことが多い生活を送っている

(※5)身体活動レベル別 タンパク質の目標量(g/日)

性別 男子 女子
身体活動レベル I II III I II III
8〜9歳 52〜80 60〜93 67〜103 47〜73 55〜85 62〜95
10〜11歳 63〜98 72〜110 80〜123 60〜93 68〜105 76〜118
12〜14歳 75〜115 85〜130 94〜145 68〜105 78〜120 86〜133
15〜17歳 81〜125 91〜140 102〜158 67〜103 75〜115 83〜128

◯田邊先生おすすめレシピ:①鮭ときのこのホイル焼き

材料(2人分)

  • 生鮭:2切(200g)
  • しめじ:1袋(100g)
  • たまねぎ:1/2個
  • にんじん:1/4本
  • バター:20g
  • 小ねぎ:お好みで
  • しょうゆ:少々

作り方

1.しめじは手でほぐし、たまねぎはうす切り、にんじんは千切りにします。
2.アルミホイル(目安25×25cm)を2枚広げたら、それぞれにたまねぎとにんじんを敷き、生鮭としめじ、バターを半量ずつのせます。
3.2を包み、フライパンに入れ、高さ5mmほどまで水を注ぎます。蓋をして中火で沸かし、弱火で15分ほど蒸し焼きにします。
4.器に盛り、包みを開いたら、お好みで小ねぎをトッピングします。仕上げにしょうゆをかけていただきます。

②まぐろのカルパッチョ

材料(2人分)

  • まぐろの刺身:100g
  • オリーブオイル:適量
  • 塩:少々
  • ミニトマト:適量
  • レモン(またはレモン汁):適量
  • ベビーリーフ:適量

作り方

1.器にまぐろの刺身とベビーリーフを盛ります。オリーブオイルをかけ、塩をふります。
2.カットしたミニトマトとレモンを飾り、レモン汁をかけていただきます。

◯成長を妨げる生活習慣&NGポイント

まず気をつけたいのは、肥満や痩せすぎといった体重の両極です。偏食などで肥満になると早熟(思春期早発)につながり、身長の伸びが早い時期に止まりやすくなります。肥満は成長ホルモンの分泌低下とも関係し、伸びの勢いを弱めることも。一方で、痩せすぎはエネルギー・栄養不足になり、骨や筋肉の材料が足りない状態に。無理な体重コントロールではなく、適正体型(※9)をやさしくキープすることが大切です。

体型が標準でも、食事内容には少し注意したいところ。カロリーは足りていても、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足していることは意外と少なくありません。主食に偏りがち、加工品が続く、乳製品や魚・卵、野菜が少なめ、甘い飲み物が習慣……心当たりがあれば、主菜を1品増やす・乳製品を足す・色の違う野菜を添えるなど、小さな見直しから始めてみましょう。

食事以外で身長の伸びに関わるのは、睡眠・日光浴・運動の3つです。

睡眠:成長ホルモンは眠り始めの90分に多く分泌されます。寝る前のスマホは早めに切り上げ、就寝・起床の時刻をできるだけ一定に。明るさ・室温・寝具など、眠りやすい環境づくりも味方です。

日光浴:ビタミンDの合成を助け、カルシウムの利用や骨の代謝をサポート。冬〜2月は日照が少なめなので、日中に外で体を動かす時間を意識して確保しましょう。

運動:運動そのものが成長ホルモンを後押しします。1日を通して60分を目安に(※3)。好きな遊びやスポーツでOK。無理のないペースで"毎日ちょっとずつ"を続けるのが近道です。

どれも"毎日コツコツ"がいちばん効果的。よく食べ、よく眠り、よく動く――この当たり前のサイクルを続けることが、子どもの伸びしろを最大化してくれますよ。

(※8)小学生〜中学生の肥満度をはかるローレル指数の計算式

体重kg÷身長m÷身長m÷身長m×10

100未満 100〜115未満 115〜145未満 145〜160未満 160以上
やせ やせ気味 ふつう 肥満気味 肥満

◯子どもの未来のために、今日からできること

身長は、1〜2ヶ月で劇的に変わるものではありません。でも、3ヶ月・1年・5年…と日々の積み重ねを大切にすれば、その子らしい成長へと確実につながっていきます。

タンパク質を意識した食事、ぐっすり眠れる夜、外で元気に遊ぶ時間。どれも特別なことではないけれど、続けることでお子さんの健やかな体づくりを支えることができます。

「遺伝だから…」と諦めたりする必要はありません。子どもの成長は、一人ひとり異なる個性です。どんな体格にもその子らしい魅力があることを忘れずに、親子で楽しみながらできることから少しずつ、日々の暮らしを整えていきましょう。

今日の一皿、今夜のひと眠り、そして何より親子の楽しい時間が、お子さんの健やかな未来を形づくっていきます。



【参考文献】
※1 令和5年国民健康・栄養調査報告 第2部 身体状況調査の結果
※2 「国民栄養の現状」レポート:昭和25年(1950)
※3 文部科学省「成長スパートってなに?」
※4 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
<幼児期のビタミン D 欠乏による成長障害>について

※5 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2020年版
※6 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」介類/<魚類>/(さけ・ます類)/しろさけ/生
※7 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」魚介類/<魚類>/(まぐろ類)/くろまぐろ/天然/赤身/生

※8 田邊 雄『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30 体・心・脳が育つ!「成長食」』



(2026/7/13 参照)

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