事業等のリスク

 当社グループはグループ理念「食を通じて人とつながり、笑顔ある暮らしを共につくるグッドパートナーをめざします。」の実現に向けて、「3つの責任」(お客様に対して、社員とその家族に対して、社会に対して)の全てにおいて企業市民としての責任を果たしながら、“「食で健康」クオリティ企業への変革”を進めております。
 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等(以下「財政状態等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないまたは問題視されていないリスクの影響を将来受ける可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識し、発生の抑制・回避に努めております。また、リスクが顕在化した際には、経営および事業リスクの最小化に取り組んでまいります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響>

 COVID-19の発生以来、感染拡大と抑制施策が繰り返されるなか、当社グループはライフラインを支える「食」の一翼を担う企業グループとして、継続的に事業を進められるよう定められた流行フェーズ毎の対応ガイドに則ったうえで、業務のあり方の工夫や働く環境の整備等の感染防止に努めております。今後も更なる影響長期化の想定に加え、COVID-19がもたらした社会要請の高まりや生活者の行動変容への対応が必要不可欠と考えております。

《事業への影響》

 家庭内食機会の拡大やその反動、外食事業や業務用製品事業の市場縮小により財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。また、「ウコンの力」等の飲酒シーンと連動性のある製品を有しておりますハウスウェルネスフーズ㈱では、外出自粛、働き方・ライフスタイルの変化に伴い飲酒機会の縮減が継続することで財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。

《バリューチェーン全体への影響》

 国内外に多数の製造・事業拠点を有しておりますほか、世界各地から原材料を調達しております。上述の通り感染防止策を講じておりますが、クラスターの発生による事業活動の一時停止や海外調達原料の供給不安等により、製品・サービスの供給に支障をきたすリスクがあります。

《事業の運営・拡大への影響》

 COVID-19の環境下では、海外等の訪問が必要な事業投資において進行が困難になること、想定外の時間を要すること等が想定され、事業拡大が停滞するリスクがあります。

(1)お客様に対する責任に関連するリスク

事業会社として持続的に成長し、世の中に独自の価値を提供し続けるための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 国内市場動向に関するリスク

《背景》  当社グループ売上の約8割を国内販売が占めております。香辛・調味加工食品事業においては、ルウカレー等の調理型製品が売上の主軸であり、底流で続く食の外部化の進展により、健康食品事業においては、ライフスタイルの変化により市場縮小の可能性があります。
《リスク概要・影響》  国内景気の動向や人口の減少が長期的な消費の低迷や販売競争の激化に繋がるリスクがあります。また、左記の市場縮小への対応が遅れることで提供価値が毀損するリスクがあります。
《主要な対策》
  • 当社グループの価値提供領域を「スパイス系」「機能性素材系」「大豆系」「付加価値野菜系」の4系列のバリューチェーン(以下「VC」)と定め、国内外で価値創造を推進
  • 既存成熟領域での生産性向上による収益力強化、国内外の成長領域への経営資源の重点配分
  • グループ横断取組(以下「GOT」)の実行による、グループ経営資源の共有化・効率化と価値提供力の向上
  • 事業開発・R&D・人材開発が三位一体となり、新価値創出を推進

② 事業拡大に関するリスク

《背景》  当社グループは、2013年の持株会社体制移行後、2015年に㈱壱番屋を、2016年に㈱ギャバンをグループに迎えるなど、VCの拡大を進めております。また2017年にはコーポレートベンチャーキャピタルを設立し、事業シナジーが見込まれる企業への投資を通じた新たな価値基盤の創出に取り組んでおります。その結果、企業買収に伴うのれんや無形資産を計上することがあります。
《リスク概要・影響》  事業計画の未達や市場環境の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合、また当初想定したシナジーが得られない場合、企業買収に伴うのれんや無形資産について減損損失等が生じるリスクがあります。
《主要な対策》
  • 経営会議等における投資計画の検証(財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等)
  • M&A等の事業投資に由来する課題事項の知見蓄積と投資プロセス管理の強化を目的とした諮問機関(投資委員会)の設置
  • 投資実行後のモニタリングのルール強化(当初想定に対して事業上の変化が発生する場合には、遅滞なく投資委員会にて諮問を行い、経営会議にて経営判断を行う等)

③ 技術革新に関するリスク

《背景》  成熟した食品産業においては、既存の事業競合に加え、異業種参入や新技術の台頭により競争環境も多様化しております。
《リスク概要・影響》  お客様や社会が直面する課題の解決に繋がるR&D機能の強化やデジタル化への対応に努めておりますが、こうした対応が遅れた場合、競争優位性が低下し、提供価値が陳腐化するリスクがあります。
《主要な対策》
  • R&D重点領域およびテーマの設定と経営資源の集中投下
  • イノベーション創出力と実現力向上への意識改革、風土醸成
  • グループ企業間の技術課題の解決だけでなく、事業創造を目指したVC間の連携強化
  • オープンイノベーションを通じた共創戦略の推進
  • デジタル投資の積極化による基盤構築と新価値創出

④ 海外事業展開に関するリスク

《背景》  進出各国においてカレー製品、豆腐製品、機能性飲料製品等の事業を展開しております。食文化は元来保守的な性質を有しており、進出各国の食文化へ浸透、定着には、緻密な事前調査や継続的な事業基盤の強化が必要不可欠です。
《リスク概要・影響》  進出各国の食文化への浸透、定着が想定を下回ることで事業計画の遅れや減損損失が生じる恐れがあります。
 また、事業規模に見合う経営基盤の構築や整備の遅れ、各国法令の発布や改正への対応の遅れ、カントリーリスク顕在化等により、利益創出力の低下、ガバナンス不全等が生じるリスクがあります。
《主要な対策》
  • 食文化の受容性や認知度に関する緻密な市場調査に基づいた市場ポテンシャルの予測
  • 経営マネジメント人材の継続的な育成・確保、外部機関とも連携した各国法令情報の収集等による事業基盤の強化
  • グループ本社と海外事業会社が連携し、事業規模に応じたリスクマネジメント体制の構築・整備
  • 複数エリアへの事業展開を進めることによる事業基盤分散、カントリーリスク低減

⑤ 食の安全・安心に関するリスク

《リスク概要・影響》  価値ある商品やサービスをお客様に安全・安心に提供し続けるために、グループ一丸となって品質の維持・向上に取り組んでおります。しかしながら万一、製品、サービスの品質トラブルが発生した場合には、お客様の健康危害や不安の発生、それに伴う企業ブランドの毀損、社会的信用の失墜、対応に係るコスト増加のリスクがあります。
《主要な対策》
  • グループ品質保証会議・グループ品質保証責任者会議を中心としたグループ全体での品質保証体制の強化・推進
  • グループ会社の特性に応じたISO9001やFSSC22000等の国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの取得および運用
  • 食品の安全・品質にかかわる法規制やお客様の食品安全への関心事等に関連する品質リスク情報のマネジメント
  • 食の安全・安心をテーマとした学習会を通じた人材育成
  • プロフェッショナル表彰制度等を通じた、品質を重視する組織風土の醸成
  • お客様の声を反映する活動を通じた商品設計から販売に至る各工程における品質保証の向上
  • 製品パッケージやWEB等を通じた分かりやすい情報開示の徹底

(2)社員とその家族に対する責任に関するリスク

当社グループの中長期的な成長には、性別や国籍などの属性の多様性とともに、一人ひとりが持つ多様な経験や適性をいかしていくことが欠かせません。社員が仕事を通じて豊かな人生を過ごしていけるよう、成長や活躍を支援する活動における主要なリスクは、以下のとおりです。

① 多様性のある人材の確保、育成、活躍に関するリスク

《リスク概要・影響》  グループ各社の特性や成長ステージ、また、GOTの具現化やグローバルな事業領域拡大に応じて人材を適切に確保・育成し供給できないこと、多様性やチャレンジを尊重する組織風土が醸成できないことは、イノベーション創出力の毀損、事業における機会損失や優秀人材の流出を起こすリスクがあります。
《主要な対策》
  • 社内公募制や副業制度、およびグループ内外での人材交流により、社員が多様な成長経験を積むことの支援
  • アセスメントを通じた適性の把握と、適性の強化・拡大に向けた社内外での学習機会の更なる提供
  • 事業の成長領域に対する人材投下と育成
  • 高度な専門性や新たな知見を有する社外人材の獲得
  • 性別、国籍、キャリア、障がいの有無等を問わず、多様な人材が成長に向けてチャレンジをできる組織風土づくり
  • 差別やハラスメントのないコンプライアンスを順守する安全・安心な職場環境づくり
  • 社員の健康支援制度

(3)社会に対する責任に関連するリスク

 社会に存在する企業市民として、本業を通じて社会の様々な課題解決に貢献するための活動に関する主要なリスクは以下のとおりです。

① 持続可能な原材料調達に関するリスク

《リスク概要・影響》  当社グループはスパイスをはじめ様々な原材料を世界各国から調達しております。
 原材料の調達にあたっては、国際的な需要の拡大に伴う食資源の調達競争の激化や需給動向の変化、気候変動や地政学的リスク、資材お取引先での感染症集団発生による原材料の供給停止・遅れ、VCの各段階における社会・環境問題への対応の遅れ等により、調達の不全やコストの増加、社会的信用の失墜等に繋がるリスクがあります。
《主要な対策》
  • 川上領域の取組強化に向けた各種施策の遂行(産地多様化による安定調達、技術開発・品質向上等における調達地との協働取組、サプライヤー監査の実施等)
  • 持続可能な調達の実現に向けた仕組みの構築(生産地の社会課題や環境等に配慮した原材料調達の推進、第三者機関(Sedex)等を活用した人権デューデリジェンスの強化、環境負荷の低い調達方法への見直し)
  • 重要原材料の安全在庫基準の見直し、その他原材料の安全在庫基準内での運用

② 気候変動に関するリスク

《リスク概要・影響》  気候変動は世界規模で影響を与える問題であり、国内外でVCを構築する当社グループにとって重要な課題と認識し対策を実施しておりますが、気温の上昇や異常気象、自然災害等によって原材料の調達不全やコスト増、生産停止等の事業活動の分断が生じるリスクがあります。また、脱炭素への対応が不足および遅延することで、生産コストの上昇や事業活動の制限、企業価値の毀損が生じるリスクがあります。
《主要な対策》
  • 環境投資判断基準の策定による環境負荷低減に向けた投資の促進
  • CO2等の温室効果ガス排出に関する新たなエネルギー施策の検討と実施(スコープ1・2の排出削減取組の加速、スコープ3への対応)
  • 食品ロスや工程ロスの低減(飼料肥料化・フードバンク・廃棄抑制・原料使い切り技術確立)、環境に配慮した容器包装の開発等による資源循環、再資源化の促進
  • 再生可能エネルギーへのシフト

③ 天候要因、大規模自然災害、重篤な疾病の流行に関するリスク

《リスク概要・影響》  当社グループの事業は、冷夏・猛暑・暖冬等の天候要因や、大規模な自然災害の発生・重篤な感染症の大流行により、財政状態等に影響を及ぼすリスクがあります。なおCOVID-19が当社グループに与える影響については前述<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響>に記載しております。
《主要な対策》
  • 大規模災害発生、重篤な感染症の大流行に際して、食品企業の使命として人命の安全を確保しながらも製品供給を果たすための生産・供給体制の整備等の危機管理体制を構築
  • 国内外グループ会社の事業特性や事業規模に応じた事業継続計画(BCP)の策定と定期的な訓練等を通じた見直し

(4)その他共通のリスク

① 法的規制とソフトローに関するリスク

《リスク概要・影響》 当社グループは、食品衛生法、製造物責任法、不当景品類および不当表示防止法等の各種規制や、海外進出先における現地法令等の適用を受けております。
各国の法令等を順守して、国内・海外の事業活動を行っておりますが、社会環境の変化、価値観の多様化のなかで、新たな法令等が制定されております。
既存の法令等はもちろん、新しい法令等の制定や改正の情報を適時入手し、その内容にそった実務対応が適切にできていない場合には、また、多様化した価値観を尊重した道徳観、倫理観をもった事業活動ができていない場合には、事業活動が制限される可能性があるほか、お客様利益の損失、法令違反や社会的要請に反する行動等による処罰や事業活動の制限を受けた場合の対応コストの増加、信用失墜による企業価値の低下等につながるリスクがあります。
《主要な対策》
  • グループ共通の価値観である「ハウスウェイ」や行動原則である「ハウス食品グループCSR方針」「ハウス食品グループ行動指針」に基づく、役員・社員一人ひとりの関係各国における法令・国際ルールの順守、現地の人権、文化、伝統、慣習の尊重による友好的な関係の維持・促進
  • ハウス食品グループの取締役等で構成される「グループCSR委員会」を通じて、グループ全体のCSR重要テーマの取組状況のモニタリング・レビューの実施
  • CSR重要テーマであるコンプライアンスについては、「コンプライアンス推進委員会」を設置し、各社の課題解決を推進
  • コンプライアンス上の問題の早期発見、解決に向けた「グループ共通コンプライアンス・ヘルプライン」の整備、周知徹底
  • 各種法令に係る主管部門や法務部門による新規法律情報、法改正情報の収集とその実務対応

② 為替変動に関するリスク

《リスク概要・影響》 当社グループが海外から調達する原材料において、為替変動の影響により調達コストが増加する可能性があります。
当社グループの外貨建て債権債務については、為替変動の影響により為替差損益が発生する可能性があります。
当社グループの海外売上高比率は約2割の水準でありますが、海外事業展開の加速に取り組んでおり、今後重要性が高まることを見込んでおります。連結財務諸表作成のため、展開各エリアの現地通貨で作成された財務諸表を円換算しており、為替変動の影響があります。
《主要な対策》

(海外から調達する原材料)

  • 合理的な範囲で輸入原料の国内在庫を積み増すことで将来的な為替変動によるリスクを低減

(外貨建て債権債務)

  • 為替予約や通貨スワップ等により将来的な為替変動によるリスクのヘッジ

③ 情報セキュリティに関するリスク

《リスク概要・影響》 当社グループは、開発・生産・物流・販売・労務等の情報や通信販売等によるお客様の個人情報について、多くをITシステムにより管理しております。災害によりソフトウエアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えたサイバー攻撃等によるシステム障害や情報漏洩、改ざん等の被害が発生した場合、また働き方の多様化に伴う情報の持ち出しや不適切な取扱いにより社有情報の外部漏洩が発生した場合、財政状態等や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。
《主要な対策》
  • 情報セキュリティを包括的に管理するための体制整備とルールの徹底
  • ソフトウエアや機器によるシステムセキュリティ対策、社員教育や訓練の実施
  • 在宅勤務やWEB会議等の働き方の多様化に対する定期的な社内調査による現状確認の実施
  • 守るべき社有情報の特定と影響評価の実施、適切な情報漏洩防止策の設定と実施の徹底