ハウス食品グループは、食品企業として、すべての事業活動が「自然の恵み」を基盤として成り立っています。
生物多様性は「自然の恵み」を育み、持続可能な社会を支える根幹であると考え、生物多様性保全方針のもと、生物多様性の保全と回復に本格的に取り組んでいます。
豊かな自然を次世代につなぐ責任を果たすため、特に原材料調達をはじめとする事業活動の上流段階に着目し、自然環境との調和を図りながら、サプライヤーや生産者・地域と協力しながら、多様な取り組みを推進しています。
ハウス食品グループの製品であるカレールウやレトルトカレーを含め多くの食品において、パーム油を使用しています。パーム油は、インドネシアとマレーシアなど限定的な地域で生産されており、世界的な需要の拡大に伴いパーム油の生産においては、森林破壊などによる生物多様性の損失や強制労働・児童労働などが社会問題となっています。
ハウス食品グループでは、パーム油の生産地の環境(森林保護、生物多様性の保全)や経済、そこで働く人々の人権(強制労働や児童労働の排除)などに配慮した、持続可能なパーム油の生産と利用を促進するため、2018年に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil)」に加盟し、2024年7月時点で、ハウス食品の全ての自社工場(関東工場、静岡工場、奈良工場、福岡工場)とハウス食品ブランドのレトルト製品を製造するサンハウス食品においてRSPOサプライチェーン認証を取得しています。
また、2025年度には、マレーシアのパーム油生産地を視察し、RSPO認証を取得しているパーム油生産地における生物多様性の保護観点で具体的な取り組み(森林保護、土壌や水の汚染防止など)状況を確認しました。
ハウス食品グループは多くの紙を使用している製品パッケージでFSC®など認証紙の使用を推進しています。
製紙メーカー・印刷会社などと連携し、「Forest Stewardship Council®(森林管理協議会)」の認証などを受けた紙の使用と認証マークの表示を進めています。
これらを通じて、森林に関する課題に配慮した持続可能な社会の実現に貢献していきます。
Forest Stewardship Council®(FSC:森林管理協議会):森林の適切な利用と保全のために活動する国際的な非営利団体
GLOBALG.A.P.認証は、農業生産の安全性と持続可能性を確保するための国際基準を提供する認証制度です。
ハウス食品グループのジャワアグリテック社(インドネシア)では、わさび農園を運営していて、単一のわさび栽培者としては世界最大規模となっています。
ジャワアグリテック社では、栽培で使用する農薬の正しい使用と保管、水質管理、農園作業者への衛生教育、農園から加工場への輸送、施設内の加工工程や福利施設での衛生管理、廃棄物(副産物)の管理などに取り組むことで、持続可能な農業実践の推進を行うことで、環境への影響を最小限に抑えるための管理手法を採用し、生物多様性の取り組みを強化しています。
ハウス食品グループ本社株式会社、株式会社ヴォークス・トレーディングは、株式会社杉本商店、南九州大学、山椒生産者と共同で、宮崎県の高千穂郷・熊本県の奥阿蘇※にて、山椒の「産地形成プロジェクト」を2025年4月より本格始動いたしました。この活動により、山椒の価値を最大限に引き出すことで、日本の食文化の保全と拡大、地域の魅力発信、農業分野の担い手創出などへの貢献をめざしています。
耕作放棄地に日本原産である山椒を定植し、栽培管理していくことは、日本の食文化の保全と拡大につながるものであり、生物多様性にも寄与できると考えています。
※高千穂郷は宮崎県高千穂町・五ヶ瀬町・美郷町・椎葉村・諸塚村・日之影町、奥阿蘇は熊本県山都町・高森町のことを指しています。
農産物の生産における農薬や化学肥料の使用、それらに伴う温室効果ガスの排出などは、生物多様性へ影響を及ぼしているものの一つです。
ハウス食品グループが開発した涙の出る成分(=辛み成分)の発生を抑えた新しいタマネギ「スマイルボール」の栽培段階における温室効果ガスの排出量が、地域の標準的な栽培方法に比べ、20%以上削減していることが認定され、農林水産省が推進している農産物の温室効果ガス削減取り組みの見える化「みえるらべる」において、最高等級である星3つを取得(※)しました。
今後も農産物の生産における環境負荷(気候変動、生物多様性への影響)にも着目し、取り組みを進めてまいります。
※今回、「みえるらべる」を取得した「スマイルボール」の栽培情報は、2025年時点の情報を使用しています。
同じ土地で収穫期が異なる黒胡椒やカカオなどの熱帯作物とマホガニーなどの樹木を混植することで、長く一つの土地を使用するため、従来の農法に比べ森林保全が可能である「アグロフォレストリー農法」を推進しているC.A.M.T.A.(正式名称:トメアス総合農業協同組合)を原料購入というカタチで応援しています。
C.A.M.T.A.の取り組みはこちら「国際的な視点から生物多様性の保全に関する共同研究を実施し、その成果を元に他の企業やステークホルダーとの対話を図ることで、真に生物多様性の保全に貢献する取組を進める。」というJBIBの活動目的に賛同し、加盟して活動をしています。
ハウス食品グループでは、国内外すべての拠点において、排水処理設備で地域ルールや慣習に準じた水質まで浄化してから河川または下水へ放流する、または水処理施設が設置されていないごく限られた施設においては、地域の公共下水道に決められたルールに準じて流している(排水処理施設を経由せず河川などの自然環境へ放流している拠点はない)ことから、流域を含めた自然環境への汚染影響を出していないことを確認しています。