牛乳と混ぜるだけで手軽に作れる、ハウス食品のデザート『フルーチェ』。プルンとした食感とフルーティーな味わいで、多くの方に愛されている商品です。そんな『フルーチェ』を作る際の食感や触感になんとリラックス効果をもたらす働きがあることが判明。その研究結果や『フルーチェ』にまつわる詳細を、ハウス食品の担当者である安達さんに伺いました。
コロナ禍のストレス…。およそ半数が不安を感じるという調査結果も
新型コロナウイルス感染症の流行により、マスクを手放せず、人に会いづらい日々が続いています。こうした暮らしに完全に慣れることが難しく、ストレスを感じているという方も少なくないのではないでしょうか?
これは、厚生労働省が2020年9月に実施した『新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査』(※)からも見てとれます。調査結果によると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、「神経過敏に感じた」「そわそわ、落ち着かなく感じた」「気分が落ち込んで、何が起こっても気が晴れないように感じた」と答えた人は、およそ半数。また、75.5%もの人が、「自分や家族が感染するかもしれないこと」に困り、ストレスを感じていたそうです。
そんな難しい環境下、ハウス食品の売り上げにある変化が起きました。液体デザートベース、いわゆる“デザートの素”が2020年度は前年比103.6%に伸長したのです。
「家で過ごす時間が多くなったことによる影響だと思いますが、その中でも家でのお菓子作りが見直されていると感じました。そこからさらに、おいしさだけでなく作る時の触感なども、気分転換やリラックスにつながっているのではないかと考えたんです」(安達)
※『新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査』 ●調査期間:2020年9月11日〜9月14日 ●調査方法:インターネットによる調査 ●調査対象:一般の方々(15歳以上) ●回収サンプル:1万981件
共同研究でわかった!『フルーチェ』がもたらすリラックス効果
そこで着想を得たのが、お菓子作りによって気持ちが和むのかを実際に検証すること。具体的には、金沢工業大学 情報フロンティア学部心理科学科 神宮英夫教授との共同研究として、『デザートベース作成時の食感がもたらすリラックス効果』という実験を行ったのです。
「ちなみに『フルーチェ』を対象にしたのは、他にはないプルプル食感や、牛乳と混ぜるうちに変化していく触感、そしておいしさという3つが、リラックスに繋がっていると思ったからですね」(安達)
その検証内容は、以下の通り。
- ・『フルーチェ』を作るチームと3分間の休憩をとるチームでわける
- ・それぞれのチームに対して、事前にこれから行うことを通達
- ・両チームとも20分間の音声データの文字起こしをしてもらう
- ・『フルーチェ』チームは『フルーチェ』を作る
- ・休憩をとるチームは何もせず休憩をする
- ・その後、両チームとも再度20分間の音声データの文字起こしをしてもらう
- ・『フルーチェ』チームは『フルーチェ』を食べる
この検証を行いながら各対象者の心電計の測定結果を分析したところ、「ただ休憩するよりも、『フルーチェ』を作っている時の方がリラックスできる」「『フルーチェ』を食べている間と食べた後には、リラックスと落ち着きを感じられる」といったことがわかったのです。
「本研究についてはさまざまなニュースサイトでも紹介していただいたのですが、ユーザーコメントの欄では“やっぱりね”とか“確かにリラックスできる”といったものが多かったように感じます。皆さん、驚くよりも納得されているという反応だったのは意外でした。普段からそんな実感があったのかもしれませんね」(安達)
そもそも『フルーチェ』って?実はここまで進化しています
作っている時間にリラックス効果を期待できる『フルーチェ』。「フルーツ+ドルチェ」が名前の由来となるこの商品が生まれたのは、1976年のことです。
「それまでハウス食品のデザートには、1964年に発売された『プリンミクス』をはじめとして、『ゼリエース』や『シャービック』といったパウダーデザート製品がありました。その後、レトルト食品にも参入して『ククレカレー』がヒットする中で、レトルトのデザートも開発することになったんです。当時は缶詰が主流の時代だったのですが、新しい世代に“レトルト形態をとった、親子で一緒に作れるデザート”として受け入れられました。お子様でも安心して作っていただくために、火を使わず、簡単にできるようにしたのも特徴です」(安達)
かくして誕生した『フルーチェ』。一番人気の味は発売当時から変わらず『イチゴ』で、2020年の1年間で売れたイチゴ味のパッケージを積み重ねていくと、なんと富士山を48個以上積み重ねた高さと同じなのだとか(2020年販売実績)。また、今までにもさまざまな味や仕様が登場しており、中には、『ベジタブルフルーチェ』や『フルーチェアジア』といったユニークなものもラインナップしていたそうです。
ストレスを感じている人もそうでない人も、『フルーチェ』でリラックスを
前述した『デザートベース作成時の食感がもたらすリラックス効果』の実験では、もうひとつわかったことがあります。それは、“「デザートベース(フルーチェ)を作って食べる」と聞いただけでリラックス状態になる”というもの。
「この結果には、神宮先生も私も驚きましたね。作ったり食べたりすることでリラックスできるのでは、と推測していましたが、実験前に“『フルーチェ』を作って食べます” と説明された瞬間からリラックス状態になるとは。これは、過去に作った思い出やCMを見た経験などで蓄積された記憶からもたらされたのではないかと考えています。
さまざまな形で制約の多い今の生活の中で、お母さんたちもご苦労をされていると思います。そんなお母さんこそ、ぜひ親子で一緒に『フルーチェ』を作っていただきたいです。お子様だけでなく、“大人にとってもいいことがありそう”と思っていただければ、さらにうれしいですね」 (安達)
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執筆者プロフィール
安達 晋
ハウス食品株式会社 食品事業本部 食品事業一部 ビジネスユニットマネージャー。2005年、ハウス食品株式会社に入社し、マーケティング部、広告統括部、食品事業二部を経て、2021年から現職。『フルーチェ』と同い年で、好きな果物はみかん、杏、巨峰。
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