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0からまるわかり、親子で知りたい、私たちの身近な自然と森林について

0からまるわかり、親子で知りたい、私たちの身近な自然と森林について

日本の約7割は山。聞いたことがある方もいると思いますが、日本は世界有数の森林大国。森林は私たちの生活にさまざまな恵みをもたらし、文化とも深い関わりがあります。しかし、これだけ自然に恵まれているにもかかわらず、日本の森林や林業はさまざまな問題を抱えています。このままでは森と触れ合う機会すらなくなってしまうかもしれません。自然豊かな日本を次世代に残すために、私たちができることを、親子で考えてみませんか。

荒れた森林がどんどん増えている、森林大国日本

荒れた森林がどんどん増えている、森林大国日本

日本は、土地の約7割が森林です。2020年の国連食糧農業機関(FAO)の調査によれば、土地に対しての森林率は先進国のなかではフィンランド、スウェーデンに次いで第3位(※1)なんです。

また、森林は天然林と人工林の2つに分けられます。人工林とは人間が植えて管理をしているもので、いわば「木の畑」のようなもの。

日本の森林の約4割は人工林で、植えられているのは、ほとんどがスギ、ヒノキのような針葉樹です。生長(動物が育って大きくなることを「成長」、植物は「生長」)が早く、建築資材などに利用しやすいため、戦後から高度成長期にかけて大量に植林されました。

ところが、今、この人工林が放置され荒れてしまっていることが問題になっています。木が十分生長しているのに木材として使われなかったり、必要な手入れがされていなかったりする森林が増えているのです。

そうした状態が続くと、台風や大雨の時に洪水や土砂崩れが起こりやすくなってしまいます。木の根には土壌をしっかりとつかんで固定する役割がありますが、枝打ち(えだうち=枝や枯れ木を切って手入れすること)や間伐(かんばつ=間引きのこと)が適切にされていないと、隣同士の木が邪魔をして木が育たないため、根をしっかりと張ることができません。

また、地表に太陽光が届かないので低い場所に木や草が生えずに地表がやせてしまい、雨水を蓄えられなくなるのです。

さらに、若い樹木は生長の過程で光合成により二酸化炭素(Co2)をどんどん吸い込みますが、成熟した木が多かったり適切に手入れされていなかったりする森林は、吸収能力が低下してしまいます。
樹木も呼吸をして酸素(O2)を吸って二酸化炭素(Co2)を吐きだしているため、二酸化炭素(Co2)量の増加につながることも心配されています。

リンゴキッド

人が植えたのに手入れがされていない森林が増えてしまうと、災害やCO2の増加を招いてしまう可能性があるんだね!

※1 林野庁 世界森林資源評価(FRA)2020メインレポートより

日本の森林が抱えている問題とは?

日本の森林が抱えている問題とは?

ではなぜ、日本の森林は荒れてしまったのでしょうか。

原因の一つは、木材として高価になってしまったこと。木材の輸入が自由化され、海外から低価格で買えるようになったためです。

実は2019年時点での日本の木材自給率は37.8%(※2)。これだけ森林があるのにかかわらず、約6割を輸入に頼っているのが現状です。

また、プラスチック製品やコンクリート製品の生産・加工技術が発達したことにより、建築資材として木材を使う量が減ってしまったこともあるでしょう。

時間や労力をかけて木を育てても収益にならないとなると、林業に就く人は減ります。さらに現代では、跡継ぎとなる世代が都会へ出てしまうケースも少なくありません。

例えばスギは木材として使用できるまでに80年間から100年程度かかるとされています。林業は、祖父の代が植えた木を父の代が育て、子の代になってようやく切ることができるという、息の長い関わりが求められます。

切った木をお金にすることで生活を保ちつつ、次世代のために植林をしたり手入れをしたりする。その繰り返しが人工林を持続させることにつながっています。逆に言えば、いったんこのサイクルを止めてしまうと、再開させるにはかなりの時間がかかるのです。

さらに深刻なのは、林業の周りにある、木を加工・木材の形に整える仕事(製材)に影響が出ていることです。近年、製材工場の廃業や合併が進んでいますが、廃業してしまうのは体力のない小規模な製材所がほとんどです。

国産材を専門に取り扱う工場は、外国の木材を専門に取り扱う工場と比較して、総じて小規模であり地元の林業業者との仕事で生計を立てていました。
これらの地元の製造所がなくなるということは、切った木材を遠く離れた製材所まで運ばなければいけないということです。そうなると、木材価格に輸送コストや人件費が上乗せされ、さらに国産の木材が高くなってしまう。このような悪循環も日本の森林を荒れさせる原因となっています。

※2 林野庁 令和元年(2019年)木材需給表より

生きている森を保つためには、継続的な人の関わりが必要

生きている森を保つためには、継続的な人の関わりが必要

海外から安い木材が輸入できるのであれば、無理をしてまで日本の林業を存続させなくてもよいのでは、と思う人もいるでしょう。

しかし、世界では、熱帯雨林をはじめとする貴重な森林が急速に失われています。農地への転用や、過度な焼畑農業、人口増による木材の必要性の増加、大規模な森林火災の影響など原因はさまざまですが、これに加えて、各国で大きな問題となっているのが、違法伐採です。

現金収入を増やすために、定められた以上の量の木を切ったり、動植物の保護地区など本来禁じられている場所で自然林を盗んでいるケースがあるのです。そして違法伐採された木材のほとんどは、海外へ輸出されていると言われています。

ここ10年ほどは各国が管理と保全を強化したことにより、森林の減少スピードはゆるやかになりつつありますが、今後は、植林→適切な手入れ→伐採→再植林というサイクルを続けていくことが必要になります。

日本はもちろん地球全体として森林を生かし続けるためには、継続的な人の関わりが不可欠なのです。

【考えてみよう】(解答例はページの一番下を見てね)
Q. 1950年以降、森林は急激なスピードで減少していると言われています。森林減少によって、地球にはどんな影響があるでしょうか。考えてみてください。

100年、1000年という単位で文化に根付いている日本の木材

100年、1000年という単位で文化に根付いている日本の木材

日本の森林を残すことは、私たちが受け継いできた文化を次世代に渡すことにもつながります。

奈良県奈良市にある法隆寺は、聖徳太子が建立した世界最古の木造建築として知られていますが、1400年経った今も、建物の骨格部分と内部には当初の木材を残していると言われています。軒先や屋根、柱の基礎など雨風や蟻害(ぎがい=シロアリによる建物の被害)によって劣化しやすい部分は、代々その技術を継承してきた宮大工が、日本の木材を使って修理を続けているのです。

また、伊勢神宮や出雲大社といった、日本の神社建築の中でも最も古いとされる建築様式の神社では定期的に遷宮(せんぐう=新しい社殿を造って神様の場所を移すこと)を行いますが、伊勢神宮では神社の隣に管理された林があり、200年後を見越して計画的に木を育てていると言います。

建築だけではありません。日本酒や、味噌、しょう油、酢といった、日本の食に欠かせない食品を作る際には、もともと杉樽が使われてきました。木の繊維や無数に空いた微小な穴の中にはさまざまな微生物がいて、それが発酵や熟成を助け、味に深みを与えてくれるからです。

また、杉樽は余分な水分を吸ったり放出したり、紫外線を遮ったりして、湿度と温度を一定に保ち、微生物が働くのに最適な環境を作ります。今でもこだわりのあるメーカーはステンレスではなく杉樽を使っていることもあるそうです。

適切に管理された森から作られた木材、紙製品を見分けるポイント

森林は、私たちにさまざまなものを与えてくれます。例えば天然の無垢材で作られた家は鉄やコンクリートに比べて断熱性が高く、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。

ただ、その無垢材がどこでどのように育ったものかという背景にまで思いを巡らせてみると、単に「自然のものなら何でもよい」というわけではないことに気づくでしょう。

地球環境や日本の林業の今後については今すぐ解決できることではありませんが、次世代に豊かな森林を受け継ぐためには、私たち一人ひとりが身近な自然に興味や関心を持ち、どう関わるかを考え続けていくことが必要です。

例えば、子どもと一緒に、家の周りにどんな木があるのかを調べてみるのもよいかもしれません。花が咲く木でも、枝ぶりが特徴的なものでも何でもよいので、まずは一本名前を覚えてみると、なんとなく親しみがわくものです。

また都市部でも里山をコンセプトにした商業施設や、自然との調和を目指した建築物は増えつつあります。まずは小さなことからでよいので、自然への興味を育むことが大切なのではないでしょうか。

家具や雑貨などの木製品を買う際は、原産国や生産国の記載も気にしてみてください。適切に管理されている森林で産出され、合法的に流通していることを示す認証制度などもあります。これは、木材だけでなく、木材を原料とする紙製品につけられている場合もあり、例えば子どものお絵描き用の画用紙や、食料品のパッケージにも「FSC®マーク」という森林認証マークが付けられています。

こうしたものを積極的に選ぶことで、間接的ではあるものの世界の森林資源、また日本の森林資源を守っていくことにつながります。まずは想像力を広げて簡単にできることから、親子で少しずつ始めていきましょう。

リンゴキッド

国内メーカーででも、パッケージにFSC ®認証紙を使う取り組みが増えているんだ。ハウス食品でも、「完熟トマトのハヤシライスソース」や「こくまろカレー」などのパッケージに使用しているよ。木がデザインされたマークを探してみてね!

適切に管理された森から作られた木材、紙製品を見分けるポイント

※製品画像は、本記事公開時のものになります。

A 【考えてみよう】 森林の減少は、大気汚染や砂漠化の進行だけでなく、そこで暮らす多様な生物の生活環境を奪うことにもつながります。近年、生物の絶滅・絶滅危惧種が増えている背景には森林破壊の影響もあると言われているのです。先進国で安価な木材を使うために、世界規模で環境の悪化を引き起こすことは避けなくてはいけません。一方、盗伐は問題であるものの輸出国の雇用の維持にも影響があるなど、人々の暮らしにも関わる複雑な問題となっています。

小島 理恵さん

信州大学農学部森林科学科を卒業後、大手造園会社を経てプロのガーデナーとして独立。専門学校の講師も務める。オーガニックな空間作りが得意で、こと家庭菜園においては、無農薬栽培や有機栽培、地産地消、フードマイレージなどについても研究を重ねている。


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循環型モデルの構築、そして健康長寿社会の実現に向けて取り組みを行っています。

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