食物アレルギー原因食物の分析方法の開発

食物アレルギーを心配されているお客様に、食物アレルギー原因食物に関する正確な情報を提供できるように、分析方法を開発しています。ここでは、2015年に開発した定性リアルタイムPCR検出法や2008年6月に新たに表示が義務付けられたえび、かにを検出する方法をはじめ、DNA増幅技術を活用して開発した分析方法をご紹介します。

食物アレルギー原因食物の分析方法

小麦、そば、落花生定性リアルタイムPCR検出法

食物アレルギー原因食物として表示が義務づけられている「小麦」、「そば」、「落花生」を感度良く分析できるリアルタイムPCR法(注1)を開発しました。この方法は、2000年以降研究開発を続けてきた技術を応用したもので、DNA量が既知の判定基準試料を検査試料と同時に分析することで、検査試料の陽性/陰性を判定します。特徴として、リアルタイムPCR装置の機種を限定しないこと、分析環境からの微量の混入を誤って陽性と判定しないこと、小麦・そば・落花生を同じPCR条件で分析できること、が挙げられます。

写真:リアルタイムPCRイメージ図

注1 リアルタイムPCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)
PCRは、試料に含まれるDNAの中から、特定のDNA断片だけを選択的に増やすことにより、検出対象のみを感度良く検出できます。 リアルタイムPCRは、DNA断片の増幅をリアルタイムでモニターし解析する方法で、通常のPCRで別途行う、DNA断片を検出する操作が不要です。

えび、かにPCR検出法

2008年6月、製品への表示が義務付けられる原材料に「えび」と「かに」が追加されました。この表示制度の改定に対応して、世界に先駆けて「えび」と「かに」とを識別できるPCR検出法を開発しました。この方法を、「えび」あるいは「かに」だけにアレルギー症状を示す患者さん達の食の選択の幅を広げることに役立てていただければと考えています。
なお、これら二つのPCR検出法につきましては、2009年1月22日付の厚生労働省医薬局食品保健部長通知「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」(食安発第0122001号)に収載されました。また、技術のライセンス先である株式会社ファスマックより、試薬キット「えび検出用プライマー」、「かに検出用プライマー」として販売されております。

写真:エビ・カニ

果物PCR検出法

果物アレルギーの主な症状としては、口腔アレルギー症候群があり、花粉症やラテックスアレルギーとの関連が報告されています。表示推奨品目の中には、「キウイフルーツ」、「モモ」、「リンゴ」、「オレンジ」、「バナナ」の5品目の果物があります。果物の中では症状が重篤で症例数が多い「キウイフルーツ」のほか、「モモ」、「リンゴ」について、2006-2008年にPCR検出法を開発しました。

小麦、そば、落花生、大豆PCR検出法

主要な食物アレルギー原因食物として知られている、表示義務品目の「小麦」、「そば」、「落花生」や表示推奨品目の「大豆」のPCR検出法を開発しました。小麦、そば、落花生定性リアルタイムPCR検出法のベースとなる技術であり、既存の検出法と比べて感度良く、かつ、アレルギー症状を起こす潜在的リスクを持つ野生種や近縁種なども含めて検出できる方法となっています。

左:賞状 右:論文の1ページ目が印刷された金属製の盾

左:賞状 右:論文の1ページ目が印刷された金属製の盾
「そばPCR検出法」に関する論文が、日本農芸化学会より英文誌(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌)の2005年度論文賞を受賞しました。 左は賞状、右は論文の1ページ目が印刷された金属製の盾です。2005年度は約270件から8件が選ばれました。

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