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ハウス食品らしい「家庭の味」DNAで「介護食」の枠を超える

ハウス食品らしい「家庭の味」DNAで「介護食」の枠を超える

少子高齢社会の到来で、介護は私たちの社会や暮らしの一部となりました。介護を受ける人にとって、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の大きな部分を支える「食」への関心も高まる中、ハウス食品株式会社フードソリューション本部で「ラクケア」(ケアフード)の開発に情熱を注ぐ的場美紀子さんに、All About「介護」ガイドで介護アドバイザーの横井孝治さんが、介護を受ける側と介護をする側の双方にとって理想的なケアフード像や、ハウス食品だからこそ作れる「美味しい介護食」について、お話を伺いました。

■青天の霹靂から始まった介護生活

青天の霹靂から始まった介護生活
ハウス食品株式会社フードソリューション本部 的場美紀子さん

横井孝治さん(以下、横井):私にとってハウスの味はおふくろの味なんです。小学校低学年の頃、友達の家でシチューを生まれて初めて食べて「世の中にはなんて美味しいものがあるんだろう」と。これは何かと聞いてみたら、それがハウスのシチューで、母にせがんで作ってもらいました。以来、我が家はバーモントカレーとのヘビーローテーション。ですから家庭の味はハウスです(笑)。

的場美紀子さん(以下、的場):ありがとうございます。ハウスの味が、お母さまの味として息子さんの心に刻まれたのですね。そう言っていただけて光栄です。

横井:その母は介護が必要になってから、もう19年になります。一人っ子の私は青天の霹靂で実家の介護生活が始まりました。

的場:何が起きたのですか?

横井:30年以上前に父が脳出血で入院し、10歳年下の母が長年療養やリハビリなどの世話を続けていたんですが、母はそれが遠因となって精神を病んでしまい、アルツハイマー型認知症も併発しました。ボヤを2回出すなど、日常生活を両親だけで危険なく送ることができなくなっていきました。私は仕事と自分の家庭と実家、東京・大阪・三重の3地点を行き来しながら両親の様子をチェックしたり、必要なものを手配したり。介護とはオムツ交換や車椅子を押すことで、親の日常生活のサポートは家事手伝いだとばかり思っていて、初めのうちは自分のしていることが介護だとさえ分かっていなかったんです。

的場:全てを一身に背負うことになられたのですね。大変なご負担でしたね。

横井:「まさか我がことになるとは」、そんな思いでいっぱいでした。私だけではなく、きっと多くの方がそんな風に介護生活を始めているのではないでしょうか。今は私自身の介護歴も長くなり、なかなかのベテランになりました。

■「最後まで口から食べる」は尊厳の一つ

「最後まで口から食べる」は尊厳の一つ

的場:ハウス食品は95年から病院施設用ゼリーを業務用部門で製造開始し、その後フードソリューション部門でケアフードの開発が始まりました。私自身は自分が介護食の開発に携わるようになるとは考えてもいませんでしたが、実家の介護経験を見て役に立ちたいと、自分から希望を出してケアフードの開発に加わりました。90年代から実家でも十何年と介護を続けていましたが、母は食べ物を細かく刻んだり、とろみをつけたりして試行錯誤していて。祖母がいよいよ胃ろうにしてしまったと聞いた時、あんなに食べるのが好きだった人がと悲しく思い、介護食の必要性を強く感じました。

横井:少しでも元気に長生きするなら、自分の口で意思を持って食事を楽しむのは本当に大切です。口の機能が落ちると、二度と食べる力が戻らなくなります。すると毎日張り合いがなくなり、QOLがガクンと下がる。日々刻々と衰えていく機能に合わせて家族が食事を調整するのは大変ですが、介護食として作られたものなら、安全性が高く、栄養バランスも考慮されているから、介護を抱えた家族は食以外に介護の時間を使えるのですよね。本当に家族でなくてはできないことって、そばにいてたくさん話をしてあげることなんです。昔は多世代同居で専業主婦の女性が子どもたちも交えながら半年や1年の介護を乗り切るといった話でしたが、今は家庭の構造も変わり、しかも長期化して、10年介護などザラです。そうした「ゴールの見えにくい介護」を共働きでもバランスよくできるよう、配食サービスや介護食などを上手に使っていきたいものです。

的場:口からものを食べるのは空腹を満たし栄養を補給するという生理的欲求の一つですが、それ以外にも生きる気力の大きな部分を占め、ひとの尊厳の一つでもあります。よって口から食べるという事は生活の質を高める大きな役割を担っています。介護を受ける方にとって、食事は「口から生きる力を得る」活動であり、コミュニケーションの機会でもあると思うのです。なるべく長く、美味しいものを味わって召し上がっていただきたいですね。

■味や食感に妥協せず、元の料理の姿を正確に再現する

味や食感に妥協せず、元の料理の姿を正確に再現する

横井:高齢になると、咀嚼や嚥下などの食べる力が衰えていきますが、ベビーフードのようなものを食べればいいのかというとそれは違いますよね。幼児と違って、高齢者にはこれまでの食経験があるからそれぞれに好物や食にまつわる記憶がある。例えば心得た施設だと、食事の準備の前に「今日の夕食はこのうなぎの蒲焼ですよ」と状態を見せたりして、それから刻んだりペーストにしたりして出します。初めから刻んで出してしまうよりも、自分の食べているものを理解しているほうが味が楽しめるからです。ですから介護食の商品パッケージも、出来上がりの美味しい形が描かれていて想像力をかきたてるものがいいですよね。

的場:ハウスのレトルト惣菜では、なめらかなペースト状になっているものも、努めて美味しそうな「もとの姿」の写真をパッケージに掲載しています。食品会社としては、患者様に五感で美味しく召し上がっていただきたいからです。

やさしくラクケア商品パッケージ

的場:弊社の研究所では新入社員から味覚トレーニングを行い、味覚を徹底的に鍛えています。業務用介護食の実績で言いますと、例えば高齢の方がお好きなお煎餅も、お煎餅としての香ばしさや表面のカリッとした食感を感じさせながらも、口の中でふわっと溶ける、ソフトせんべいをもっと柔らかくしたようなものを開発しています。ただ「その味がする」のではなく、食感の変化も含めて患者様に食事を楽しんでいただきたいのです。ですからレトルトやカップデザート問わず、全て共通に力を入れるのは「物性」といって、歯茎で潰せる柔らかさでありながら「これは人参」「これはじゃがいも」とわかる素材そのものの本物らしい食感を担保することです。ペースト食でも味を正確に再現します。

横井:それぞれの食感や味が残っているのはすごい。カレー味のポタージュになってしまわないのですね。

的場:ペーストにすると、同じ材料であっても別物になってしまいがちです。そういうことがないように、味を組み立てます。同時に、お水が飲めなくなるので、飲み込みやすい「粘性」にも気を配ります。

横井:ハウスのケアフード製品カタログを見ると、「歯ぐきでつぶせる」「かまなくてよい」などの表示がありますね。

的場:日本介護食品協議会が定めた「ユニバーサルデザインフード」の規格に応じて、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4段階のマークがついています。人気商品はレトルト惣菜で、「歯ぐきでつぶせる」マークのついた「やわらか肉」シリーズはお肉やお豆腐の形がしっかりあるのに、歯ぐきでつぶせる硬さとなっています。ハウスはカレーやシチューなどの歴史が長く、馴染みのある味ということもあって「あまり食べられなくなったおじいちゃんもカレーなら食べてくれる」などのお客様の声をいただきました。

横井:それはおじいちゃんも喜ぶだろうな。カレーは食欲増進しますからね。作り手としても嬉しいですよね。

■介護食市場の今後の姿とは

介護食市場の今後の姿とは
All About「介護」ガイド 横井孝治さん

的場:「まるで果物のようなゼリー」シリーズも人気です。フルーツを嫌いな人は少ないのに、筋や皮や種の誤嚥など、高齢者には危険な食べものの代表になってしまうのです。ゼリーでは生のフルーツの食感、糖度や酸味、果汁感、香り立ちを再現しました。横井さん、試しに「もも」を召し上がっていただけませんか。

横井:うわ、これは美味しい。まず蓋を開けた途端にいい香りがふわっと上がりますね。食感もそのままの桃です。これを目隠しした状態で一口食べたら、桃だと思いますよ。これは他社にはないクオリティでしょうね。果物は保存や管理が難しいので、介護現場ではどうしても缶詰の果物などを使いがちですが、これならフルーツ代わりに手軽ですし、冬場に「梨が食べたい」などのシーズン外れの希望があった時も出せますね。

まるで果物のようなゼリー

的場:ありがとうございます。介護現場からも患者様からも、美味しさで評価が上がり、発売して10年間ずっと順調に数字の伸びている商品です。このゼリーもそうですが、現在はユニバーサルデザインフードの第3段階「舌でつぶせる」がもっとも売上の多い分野です。ですが第4段階「かまなくてよい」の数字が伸びており、より重症化、進行した段階で需要が上がっていると考えられます。

横井:市場としては第4段階が伸びているということですね。昔だったら確実に胃ろうにしているレベルかもしれませんが、今は末期でも在宅療養する方が増えていますし、今後確実にニーズが増えるのは間違いないでしょうね。今後、よいサービスに親しんできた団塊世代が要介護者になっていく中で、食に注目するのは大事です。介護への要求水準は上がっている。いずれ自分にも介護される時はやってくるわけですが、自分ごととして考えた時に、食べることって現在の健康な生活と地続きですから、ちゃんとしたものを食べ続けたい。とにかく食べられればいいということではないですよね。

的場:横井さんがおっしゃったように、ハウスの味は家庭の味なのです。その家庭の味を大事に、食卓に根付いた味を出している弊社が介護食を手がけているということを、もっと多くの方々に知っていただけるように努力していきたいと思っています。いまは普及途上ですが、いずれ自分もそういう世代になった時、美味しいと思えるものを口から食べて生活できる世の中であってほしいと思います。そのためには我々メーカーが努力し、美味しい介護食がどこにでも並んでいて、どこでも買える社会にしていきたいですね。

的場美紀子さん
ハウス食品株式会社フードソリューション本部 ユーザーソリューション開発部 3ビジネスユニットマネージャー。1994年ハウス食品株式会社入社。自ら希望し2011年よりケアフードの企画開発担当。趣味は食べ飲み歩きと料理。
横井孝治さん
All About「介護」ガイド。株式会社コミュニケーター 代表取締役。2001年、34歳のときに突然始まった両親の介護を通して、多くのことを考え、悩み、そして学ぶ。2006年、正しい介護情報を多くの方々と共有するため、株式会社コミュニケーターを設立。介護アドバイザーとして、介護情報サイト「親ケア.com」や介護の記録&共有サービス「おやろぐ」などの運営や、執筆、講演活動など幅広く活動を行っている。
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