食物アレルギーについて、ハウス食品グループがお伝えしたいこと ひとつのお鍋で、家族をひとつに。

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赤城智美さんコラム

食物アレルギーについて、赤城さんご自身の経験をもとにさまざまなエピソードをご紹介します。

コラム Vol.18
「お月見ください」の
晩のこと

子どもが小学2年生の夏休み明けに、山がちな土地へ引っ越しました。林道は舗装されていて十分な道幅があるのに、街灯はぽつんぽつんとしかありません。信号機は小学校の前に練習用のものがあるだけです。だから新月の夜は本当に真っ暗になるのです。この土地では、お月見の晩に子どもたちが誘い合って村の門口を訪ねて回り「お月見ください」と声をかける静かなお祭りがあります。大人たちはたくさんのお菓子を準備して子どもたちがやってくるのを待っているのです。あのハロウィーンとそっくりです。

真っ暗な土地の月夜の晩は、月が雫を垂らしているようにしっとりとして大きく輝いているように見えます。その月明かりの中を子どもたちが空っぽのリュックを背負って、段々畑の横を通っていくのです。
最初の年は、いただいた食べ物のすべてが卵、乳、小麦が入っていたので、私が準備したおやつと取り換えっこをしなければなりませんでした。ところが次の年は、茹でたトウモロコシ、もいだばかりのキュウリ、ピーマン、ふかし芋、おにぎり!食べられるものばかりがたくさん入ったリュックをパンパンにさせて子どもが帰ってきました。

「あの子は食物アレルギーっていうのになっていて卵が食べられないらしいよ」「おばちゃん、僕はこれ食べられないんだ」噂や対話が積み重なって、子どもは村の子になったのです。沢山の人の思いやりで心が震えるようでした。

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